2016年12月21日水曜日

今年はこんな本を作りました〜2016年を振り返って(2)〜

閑話休題。
イベントとバンドのことから離れて、2016年に手がけた本を紹介したいと思います。「2016年を振り返って」であれば、もちろん触れなきゃですよね。

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沖縄の出版社は、自分たちが作った本のことを「沖縄県産本」と呼んでいます。空犬太郎さんのブログにもありましたが、本屋さんには必ずといっていいほど県産本の棚が設けられていますので、県産本が手元にあるという方も多いのではと思います(多いといいな)。

流通や支払いの一本化を目的として、出版社と本屋さんとのあいだには「取次会社」が入るのが一般的です。出版社は、本を取次会社に出荷した時点でその分の支払いを受け取りますが、返品があったら返金するという仕組み。取次会社は全国各地の書店さんに入荷本を配本したり、注文を受けて発送したりします。
これは県外での話。

沖縄の出版社の場合は、県内の本屋さんがメインの売り場ですから、距離が近いこともあって、大手取次会社を通さずに自分たちで納品するところが多いです。本を納品した時点ですぐ支払いが立つのではなく、店頭で売れた数をカウントしてその分だけを精算します。コツコツと面倒に映るかもしれませんが、大金を回転させずに実売ベースの小商いをすることで、小さな出版社でも取引ができるわけです。県内での流通をどこかに外注する場合であっても、大手ではなく地元にある取次会社に委託するのがほとんど。

県産本の9割ほどが地元で売れる背景にはこうした事情があります。いや、もともと地元を志向して本を作っているからそういう売り方が合っているのか、「卵が先かニワトリが先か」ということかもしれませんが、ともあれ県産本の多くが地産地消的な売り方をしていることはお分かりいただけると思います。

もうひとつ言い添えますと。
読者が本を手にするまでには、出版社や本屋や流通会社だけではなく、さまざまな人が存在します。印刷会社・編集・デザイン会社・古書店・小売店・図書館……。

日本全体の「100分の1市場」なんて言われる沖縄でのことです。出版王国・沖縄を支えているのは、あまり目立たないかもしれない、本の回りの人たち。もちろん、著者の存在も大きいですし、何よりも本を買ってくれる読者あってのこと。

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で、相変わらず前置きが長いですが、今年わたしが作った「県産本」は以下の通りです(そのほか編集ものがいくつか)。デザインや印刷のクレジットもせっかくなので入れてみました。
どんな本を来年は作ることができるでしょうか。楽しみですね。


復活のアグー 琉球に生きる島豚の歴史と文化
平川宗隆著 カバーデザイン:佐渡山安博 印刷:でいご印刷

うたう星うたう
瑶いろは著 カバーデザイン:YES DESIGN ROOM 印刷:でいご印刷

沖縄のデザインマンホール図鑑
仲宗根幸男著 カバー・本文デザイン:仲田慎平 印刷:東洋企画印刷

尚円王は松金 妻はカマル
やまのはとしこ著 カバーデザイン:武富良実 印刷:でいご印刷

おうちでうちなーごはん!
はやかわゆきこ著 カバー・本文デザイン:渡慶次博 印刷:東洋企画印刷

詩集 恋はクスリ
鈴木小すみれ著 装画:今村雄太 カバーデザイン:YES DESIGN ROOM 印刷:でいご印刷

私のアパート経営〈失敗〉物語
仲村渠俊信著 カバー・本文デザイン:仲田慎平 印刷:東洋企画印刷

ダボハゼ〜人生逆転劇場〜
住川明彦・美恵著 カバーデザイン:佐渡山安博 印刷:でいご印刷

【近刊】
内地の歩き方 沖縄から県外に出るあなたが 知っておきたい23のオキテ
吉戸三貴著 カバーデザイン・本文イラスト:ぐりもじゃサスケ 印刷:東洋企画印刷



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